公爵の娘と墓守りの青年
ウェルシールと、彼の隣に立つトイウォース、エルンストもエマイユを見る。
「この墓地は、墓地になる前から少し変わった力が宿ってるんだよ」
自分と同じく事情を知っているイストをちらりと見ながら、エマイユは口を開く。
「変わった力ですか?」
「うん。この墓地は、場所はカエティスの強い魔力を上手く抑え、維持してくれてるんだ。だから、封印の要のカエティスは魔力を使い過ぎて倒れることなく生活出来てるんだよ」
「たまたまそういった場所だったそうですよ。昔、司祭様がそう言ってました」
エマイユの言葉に頷き、イストが言葉を接ぐ。
「だから、カイさんは若いんですね」
納得した様子でリフィーアは呟いた。
「いやいや、それはちょっと違うよ、リフィーアちゃん! カエティスの場合は若作りをしてるだけだよ!」
妙な納得をするリフィーアに、エマイユは慌ててつっ込んだ。
「……いや、若作りはしていないんだけど」
困ったような、戸惑っているような男の低い声が背後から聞こえた。
「あ、カイさん……」
いつの間にか現れたカイにリフィーアは驚いたように呟いた。