公爵の娘と墓守りの青年
「すぐに分かりますよ、ネレヴェーユ様」
エマイユの言葉を聞き、ネレヴェーユは無言でカイを見つめる。ネレヴェーユ以外のリフィーア達も何が起こるのかと、じっとカイを見つめる。
ウェルシールも目を瞬かせて前に立つ自分より少し背の高いカイを見上げる。
見られているカイは居たたまれなくなり、小さく息を吐く。
「まぁ、エマイユちゃんには気付かれちゃったけど……ウェル君」
静かにカイはウェルシールの名を呼ぶ。
「は、はいっ!」
カイに名を呼ばれ、驚いたようにウェルシールは返事をする。
「ウェル君に、伝えたいことがあるんだ」
真摯な表情でカイはウェルシールを水のように透き通った水色の右目と、意志の強い鋼のような銀色の左目の異なる両目でまっすぐ見つめる。
「……僕も、貴方にお願いがあります」
ウェルシールも少し大きい緑色の目でカイをまっすぐ見つめる。
「あ、じゃあ、ウェル君からどうぞ」
「えっ、あ、はい」
カイに勧められ、緊張した面持ちのウェルシールは落ち着かせるように深呼吸を何度か繰り返す。
ようやく落ち着き、ウェルシールはカイに向き直る。
そして、静かに唇を開いた。