公爵の娘と墓守りの青年

「カイさん、いえ、カエティス殿」

一呼吸置いて、じっとカイの目から逸らすことなく、ウェルシールは意を決した目で続ける。

「国王として貴方に命じます。守護騎士として、国と民を負の集合体から私と共に守って下さい」

真摯な眼差しを向け、ゆっくり静かにウェルシールは告げた。
ウェルシールの言葉を聞き、リフィーアとトイウォース、ネレヴェーユが驚いて息を飲む。
カイは小さく笑みを浮かべ、音もなく跪く。
跪いたままウェルシールを見上げ、カイは静かに唇を開いた。

「――我が身、我が命を掛けて、国と人々をお守り致します。ウェルシール陛下」

穏やかに、かつ真摯な声音でカイはウェルシールの言葉を受け、返した。
そして、臣下の礼を取る。
カイの言葉を聞いたウェルシールは安堵の息を洩らした。

「……ありがとうございます、カイさん……」

緊張していたのか、ウェルシールは膝を落としそうになった。
そこでウェルシールはあることを思い出した。



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