公爵の娘と墓守りの青年
「あっ……カイさん、あの、僕に伝えたいことがあると言ってましたが、何でしょうか……?」
「ん? ウェル君……いえ、ウェルシール陛下と同じ内容ですよ」
にこやかにカイが答えると、ウェルシールは慌てて彼に向かって身を乗り出した。
「あ、あの、カイさんっ。今までと同じ話し方でいいですから!」
「貴方の臣下になったのですし、そういう訳にも……」
跪いたまま困惑したようにカイはウェルシールを見上げる。
「前にも言いましたけど、僕は貴方と対等に話したいのです! ですから、今までと同じでお願いしますっ!」
「だってさ、カエティス。いいんじゃない? 君、前世の私の時も対等に話していたんだからさ」
エマイユが助け船を出し、カイを見る。
「いや、そうだけど……」
「本当にお願いしますっ」
「……じゃあ、今まで通りにさせてもらうね、ウェル君」
降参したようにカイは頷き、小さく微笑む。
安堵の息を洩らし、ウェルシールも承諾を込めて頷いた。
「あの……私もウェル様やカイさん、皆さんに伝えたいことがあります」