公爵の娘と墓守りの青年
「……俺は五百年前、倒すことが出来なかった。今までのクウェール王家とウィンベルク公爵家の子達がたくさん犠牲になったのに、俺は誰も守ることが出来なかった。ただ、ここで墓守りとしていることしか出来なかった……」
何かを押し殺すかのように呟くように言い、カイはウェルシールとリフィーアを見た。
「だからね、指輪に呼ぶ機能を付けることでこれから継いでいく子達を守れるならと思って、俺の力も入れて守れるようにしたんだ。リフィーアちゃんが持ってる白銀の鎮魂剣にも俺の力をちょっと加えてね」
小さく笑みを浮かべ、カイは吐息する。
ウェルシールはカイに頷き、彼に近付く。
「……カイさん、指輪を呼ぶにはどうしたらいいですか?」
「簡単だよ。ウェル君が指輪を呼んだら来るよ」
「呼ぶ、だけですか?」
目を瞬かせて、ウェルシールはカイを見上げる。
「うん。ただ、俺の近くでというのが条件なんだけど」
「分かりました。今から呼びます」
深呼吸して、ウェルシールは指輪を呼ぼうと口を開いた。
その時、トイウォースの呻き声が聞こえた。