公爵の娘と墓守りの青年
「その為にも、早く指輪を呼んだ方がいいよ」
「そうだね。ウェル君、指輪を思い浮かべながら、『白金の守護の指輪』と呼んでごらん」
ウェルシールの手に触れ、カイが告げる。
「えっ、あ、はい。白金の守護の指輪……」
カイに言われた通り、ウェルシールは指輪を思い浮かべながらその名を呼ぶ。
クウェール王家で代々受け継いできた指輪の名を紡ぐと、自分とカイの間に現れた強い力をウェルシールは感じた。
得体の知れない力と共に暖かい白と金の光がウェルシールの前に現れ、浮かぶ。
白と金、二つの光がだんだんと小さくなり、ウェルシールの前をくるくると回り、降りてくる。
ウェルシールは慌てて両手でそれを受けると、ころころと掌の上を転がる。
「……これが、白金の守護の指輪……」
白と金が混ざった指輪をウェルシールは呆然と眺めた。