公爵の娘と墓守りの青年
「はい、分かりました……」
真っ赤になりながら、ウェルシールは右手の人差し指に白金の守護の指輪を嵌める。
人差し指に嵌めたと同時にウェルシールは指輪から温もりを感じた。
「?」
首を傾げて、ウェルシールはカイとエマイユを見る。
「どうしたんだい、ウェル君?」
カイも首を傾げて、ウェルシールを見る。ウェルシールの表情を見て、エマイユが閃いたように手を叩く。
「ああ、指輪から感じる温もりみたいなのが気になる?」
「は、はい」
頷くウェルシールを見て、エマイユは柔らかく微笑む。
「その温もりは君を大事に思っている人達の温もりだよ。君は愛されてるってこと。だから、どんなに狙われても命を粗末にしては駄目だよって教える為に私とクレハが作ったんだよ。誰かさんに関わると皆、無茶をするから」
両腕を組んで、エマイユはちらりとカイを見上げる。
「だから、俺は無茶をしていないって」
「何処がだよ。そういうところが過去で見た君の育てのお母さんに似てるね。君の育てのお母さんのことをもっと早くに知ってたら五百年前のあの時もあの時もあの時とかも止めたのに」