公爵の娘と墓守りの青年
「うん。小さなリフィーアちゃんに会ったことで、ウィンベルク公爵の子供が生きていたって何処かで漏れたらリゼル君とフィオナちゃん、マティウス君が必死にリフィーアちゃんを守ろうとしたことが無駄になってしまうし、リフィーアちゃんには負の集合体のことに巻き込みたくなかったから、朧げにしか覚えていないようにしたんだ。黙っていてごめんね、リフィーアちゃん」
小さく申し訳なさそうに説明するカイに、リフィーアは泣きそうになった。
自分の両親との約束を守るためにずっと黙っていたカイの優しさに胸が熱くなった。
「いえ……いいえ、カイさん。私の方こそ、今まで両親の代わりに守って下さってありがとうございます」
「ありがとう。でも、その『ありがとう』はマティウス君達に言わないと。俺はただ、見ていただけだから」
そう言って、カイは穏やかに笑う。
「はい、叔父様達には終わったら、すぐに言います。カイさんにも終わったらまたもう一度言いますね」
頷いて、リフィーアも微笑む。周囲でウェルシール達も笑みを浮かべる。
「リフィーアちゃんが叔父さん達にお礼が言えるようにする為にも、早く終わらせよう、カエティス」