公爵の娘と墓守りの青年
カイの肩を叩き、エマイユが促すと彼も頷いた。
「うん、そうだね。リフィーアちゃん、ウェル君。今から最奥に行くよ、いいかい?」
「はい、大丈夫です」
「僕も大丈夫です」
「他の皆は外に……って言ってもついて行くよね……」
「当然じゃん。私にも見届ける責任があるしね。元トーイとして」
胸を張って、自信満々にエマイユが答えた。その周りでネレヴェーユ達が大きく頷く。
大きく頷くネレヴェーユ達を見て、カイは嘆息した。
「そうだよね……。分かったよ。でも、皆、危ないから本当に気を付けてね。今からは皆のことまで集中出来ないかもしれないから」
「そうだね。私も昔とは違うから気を付けるよ」
「隊長、翠宵の剣があるので大丈夫です。皆さんをしっかり守ります」
「カエティス、気を付けて」
「うん。ありがとう、ネリー」
ネレヴェーユの言葉に微笑み、カイはイストに目を向ける。
「よろしく、イスト君。リフィーアちゃん、ウェル君。行くよ」
「はい」
リフィーアとウェルシールは頷き、最奥に向かって歩くカイの後に続く。その後をエマイユとイスト、ネレヴェーユ達が続く。
墓地の最奥へ進むと小さな洞窟があり、黒や紫色の煙のようなものが漂っていた。ひやりと冷える空気と共にカイは洞窟の中へ入り、リフィーア達が続く。