公爵の娘と墓守りの青年
洞窟の中をリフィーアは見回すと、洞窟の四隅に両手分くらいの大きさの水晶が置いてあり、淡い青白い光を放っていた。その水晶の光で洞窟の中はしっかり見渡せるが、光の色のせいかどこか重く、暗い。中央には何重にも描かれた魔法陣があり、その魔法陣の中央には棺が置いてあった。
「この棺の中にいるのですか……?」
前に立つカイの背中を見上げ、ウェルシールが尋ねる。
「うん。ウェル君、気を付けて。指輪を持ってるけど、危ないのは変わりないから。もちろん、リフィーアちゃんも」
「はい」
カイの言葉に頷き、リフィーアはぎゅっと白銀の鎮魂剣を胸に抱く。白銀の鎮魂剣がリフィーアとウェルシールを守るように白いオーラが二人の周囲に漂う。それを見つめて、カイは安堵したように小さく笑う。そして、ちらりとネレヴェーユに目を向けると目が合い、彼女もカイを安心させるように微笑む。
「……それじゃあ、今から封印を解くよ」
一歩、一歩とカイは魔法陣に近付く。その間にも何かあった時の為に鴨頭草の剣を鞘から抜き払う。
何重にも描かれた魔法陣の前でカイは止まり、じっと見つめる。何かを確認した後、小さく頷き、カイは振り返ってウェルシールとリフィーアに目を向ける。