公爵の娘と墓守りの青年
「ウェル君、リフィーアちゃん。血を少しだけ……もらえないかな?」
とても言いにくそうにカイは二人に言う。
「はい」
頷いて、ウェルシールとリフィーアはカイに近付く。
カイは懐からナイフを取り出し、鞘を抜く。
「ありがとう。痛いけど、少しだけ我慢してね。血を少しもらった後はすぐに皆のところに行くんだよ」
「分かりました、カイさん。それと気にしないで下さい。私達は大丈夫です」
申し訳なさそうに言うカイにリフィーアは首を振って、微笑む。
「そうですよ、カイさん。もし、負の集合体と戦うことになったら僕達も戦います!」
「カイさんだけに戦わせません! 私達も戦います」
「……ありがとう。でも、俺が戦うよ。ここは年上の俺が……」
「年上関係ないでしょ」
カイの言葉に被せるようにエマイユがつっ込む。
「せっかく真面目に話が進んでるのに、君が壊してどうするんだよ」
「いやぁ、何かしんみり過ぎて、ちょっとね……」
「ちょっとじゃないよ。早く封印解く! 全く、君という人は……」
むすっとした顔でエマイユはカイに怒り、先を促す。怒られたカイも苦笑を浮かべて、一つ咳払いをする。
「話を戻して、ウェル君、リフィーアちゃん。血を少しもらうね」
「はい」