公爵の娘と墓守りの青年
「ご、ごめんなさい……」

しょんぼりした顔でウェルシールはエルンストとイストに謝った。

「分かればいいのです。それでは、ウェル様。仕事もたくさんありますし、帰りましょうか」

満面の笑みを浮かべ、エルンストはウェルシールに言った。

「えっ、いや、あの……まだカイさんとの話が終わって……」

「駄目ですよ。ここに滞在するだけで、時間がかかる上に仕事が溜まる一方ですよ? さぁ、城に帰りましょうね」

にっこりと笑い、エルンストはウェルシールの両肩を掴む。そして、そのままウェルシールを連れて行く。

「えぇ〜、え、エルンスト? 僕はまだカイさんに話が……」

「駄目です。明日は大切な会議がありますからね。大人しく帰りましょうね」

エルンストにそのまま引き摺られ、ウェルシールは子犬のような潤んだ目で、助けを求めるようにカイを見つめた。

「……あらら。エルってばウェル様を連れて行っちゃった。全く困った弟だなぁ」

「ええっ、あの、さっきの人とご兄弟だったのですか?」

ウェルシール達とのやり取りを呆然と見ていたリフィーアが思わず声を上げた。
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