公爵の娘と墓守りの青年
「え……? 君……!」

「それではまた〜」

驚いて声が出ないカイに笑って、イストは墓地の門へと歩いていった。
イストの後ろ姿を呆然と見つめ、カイは立ち尽くす。
驚いたような、嬉しそうな、悲しそうな様々な感情が入り混じった顔をしている。
そんなカイに、声を掛けてもいいのかリフィーアは少し悩むが、声を掛けないとどうにもならない。
そう思い、口を開いた。

「あの……カイさん?」

「ん? ああ、ごめんね。リフィーアちゃん。ちょっとぼーっとしちゃってたね」

リフィーアの声に微笑みかけ、カイは謝る。
その笑みはカイのいつもの笑みに戻っていた。

「いえっ。あの、大丈夫ですか? さっきの男の人に何か言われたのですか?」

「――……何も言われてないよ。そんな心配しなくても大丈夫だから、気にしない、気にしない」

心配そうに見上げるリフィーアに苦笑しながら、カイは穏やかに言う。
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