公爵の娘と墓守りの青年
「何処かの誰かさんが朝昼晩関係なくふらふらと出歩くから余計に怖くなるんですよ、イスト兄さん。何処かの誰かさんにも見習ってもらいたいですね」
「誰だろうねー。でも、エル。安心しろ。父さんの怖さはしっかりエルが継いでるから。俺は母さんに似て謙虚だから、父さんの真似は出来ないな」
弟の皮肉たっぷりな物言いをさらりとかわし、イストは更に続けた。
「ところでエル。気付いてるか? 家族の自慢しか誇れるものがないらしい貴族の皆さんの面倒臭い話に参加していない貴族の方がお一人いらっしゃること」
真面目な顔でイストは小声で弟に尋ねる。
前半は皮肉を含めていたが、後半は明らかに相手の貴族に敬意を込めて尋ねていることに気付き、エルンストはまじまじと兄を見た。
宰相のオルレンの子供である自分達も貴族なのに、その貴族を毛嫌いしている兄が貴族相手に敬意を込めていることにエルンストは驚いた。
エルンスト達が小声で話していることを静かに聞いていたウェルシールも不思議そうに見ている。
周りではしばらくは静かだったが、我慢が出来なくなったらしく、再び貴族達の自慢話が始まっている。
「え、ええ。もちろん。ウィンベルク公爵ですよね。それがどうかしたのですか、イスト兄さん」
「うん。ちょっと思い付いたことがあってね。公爵がどのように切り返して来られるかは分からないけど、試す価値はあるかな?」
「誰だろうねー。でも、エル。安心しろ。父さんの怖さはしっかりエルが継いでるから。俺は母さんに似て謙虚だから、父さんの真似は出来ないな」
弟の皮肉たっぷりな物言いをさらりとかわし、イストは更に続けた。
「ところでエル。気付いてるか? 家族の自慢しか誇れるものがないらしい貴族の皆さんの面倒臭い話に参加していない貴族の方がお一人いらっしゃること」
真面目な顔でイストは小声で弟に尋ねる。
前半は皮肉を含めていたが、後半は明らかに相手の貴族に敬意を込めて尋ねていることに気付き、エルンストはまじまじと兄を見た。
宰相のオルレンの子供である自分達も貴族なのに、その貴族を毛嫌いしている兄が貴族相手に敬意を込めていることにエルンストは驚いた。
エルンスト達が小声で話していることを静かに聞いていたウェルシールも不思議そうに見ている。
周りではしばらくは静かだったが、我慢が出来なくなったらしく、再び貴族達の自慢話が始まっている。
「え、ええ。もちろん。ウィンベルク公爵ですよね。それがどうかしたのですか、イスト兄さん」
「うん。ちょっと思い付いたことがあってね。公爵がどのように切り返して来られるかは分からないけど、試す価値はあるかな?」