【完結】終わった恋にフラグはたちません!

驚いた彼女は慌ててゆうちゃんから一定の距離を取り、自分に何が起こったのかまだ理解していないようで目を丸くしている。

「あ、み、三栗谷…さん? どうしたの、何をおっしゃてるの。だ、だって私達…才能溢れる同士でピッタリって…」
「君が本当に才能溢れる人だったら、ね。──そうだよね、まきちゃん!」

突如、ゆうちゃんが巻さんの名を呼び出したと思ったら、少し離れた場所に一人で座っていた男性がこちらへ向かってくる。
よく見ると、それは紛れもない巻さん自身。

……へ…ま、巻さん? え、なんで巻さんがここに…って、それよりいつからそこにいたの!? 状況が全く把握できない。

私はもちろん同じ席に座っている石川君と亜里沙ちゃんも呆然としている。

ゆうちゃん達の席までやってきた巻さんは、片手に持っていた数枚の用紙を高光 杏の目先にあるテーブルに叩きつけた。

「な、何なのよ、あなた! 急に失礼じゃないっ!」
「いえ、失礼なのはあなたの方じゃありませんか? 失礼ながら調べさせて頂きました。
──高光 杏さん、あなた今まで結構な汚い手でいろんな役を奪ってますよね」

巻さんの言葉による突然の爆弾投下に高光 杏は一瞬の動揺を見せるが、直ぐ様また知らぬ存ぜぬの攻防をしてくる。

「何をお調べになったか知りませんが、そんなのでっち上げのガセです」
「じゃあ、これはどうでしょう。
あなた、気に入った男性に薬を盛ってまで無理矢理関係を築いてますね。その後もそれをネタに脅し何度も関係を迫ったとか」
「……はぁ? それこそ何の証拠もないじゃない! むしろね─、誘ってきたのはバカな男の方なのよ。
フフッ、私の魅力に理性を保てなかっただけなんじゃないのぉ!? それより三栗谷さん、何なのこの人─、私今度のドラマのヒロインなのよ。なのにこんなの酷くないですか?」

悪びれることもなく、全く折れようともしない彼女の姿勢に腹立たしい想いが更に倍増される。
何とかこの女をぎゃふんと言わせたい!

その時、巻さんはゆうちゃんと何かを目配せするような行動を取っていることに気付く。
この二人はいつからこのような計画を立てていたのだろう? 自分達は自分達の計画で一杯一杯だったから全く気付いていなかった。

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