【完結】終わった恋にフラグはたちません!
第八話 ★ 終わる前の恋(祐一side)

自分が他の人と少し違うのかなと感じ始めたのは小学五年生の時。

高学年ともなってくると少しずつ異性のことが気になってくるもの。僕も普通に女の子を好きだったし、友達とも好きな子の話しで盛り上がったりした。
──でも……その頃から僕は好きな女の子を見る気持ちと同じ目で同世代の男友達を見るようにもなったのだ。

好きな女の子を見てもドキドキするし気になる男の子を見てもドキドキする……成長につれ自分は他の男子とは違うものを持っていると完全に悟った。

しかしそれと同時に本当の自分を必死に隠さなきゃと思うようにもなり、自分のことを好きになった女子だけと付き合うようになっていったのだ。自分で言うのも何だけど、女の子は自然と僕の周りに集まってくる。

──けど、どこか本当の自分を隠していることへの罪悪感、そして好きでもない女子と付き合うことの空虚感によって僕は徐々に疲れきっていく。

──そんな時……僕が大学二年生の時だ。

大学で友人になった立木 司(たちき つかさ)に僕は女性以上の恋をしてしまったのだ。司は本当に男っぽくて誰ともすぐ打ち解けられる明るい性格の持ち主。

ある日、気持ちを抑えきれなくなった僕は司の家へ遊びに行った時、司に告白しようと決意。──司に引かれることも友人を無くすことも覚悟していた。僕にとっての初めての告白になるはずだった……それはまるで中学生みたいに、告白する言葉を紙に書きだし、何度も練習を繰り返すぐらいに。

──なのに、告白する前にあるハプニングが起きてしまう。

「……あの、これ、落としましたよ」
「え!?」

手渡された紙を見て、僕はとてつもない後悔の波で体が押し潰されそうになる。その練習用に告白の言葉を書いた紙を、あろうことか高校生の司の妹が持っていた。僕は慌ててズボンのポケットを探したがどこにもない……いつの間にかこの家のどこかで落としてしまっていたのだ。

「あ─……あり、がとう。──えっと……中、見たかな?」

まさか司本人に告白する前に、その妹に見られてしまうなんて……恥ずかしいし気まずいしで、どんな言い訳の言葉も浮かんでこない。

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