【完結】終わった恋にフラグはたちません!
◇ ◇ ◇
来たら来たで女子達が皆、僕に言い寄るから合コンには呼びたくない。でも来なきゃ来ないで女子達の集まりが悪くなる。
『お前、いいように使われてんな─』
大学時代、司からそのようなことを言われたことがある。特に自分が使われているなんて司に言われるまで全く気がつかなかったが。
でも一昨日の高橋の態度……たぶん最初は飲み会リストなどに僕の名前は入っていなかったのだろう。でも急遽──っていったところかもしれない。
「三栗谷さんってぇ、三本物産にお勤めなんですよねぇ─! すごいですぅ─、リカ本当、めっちゃ尊敬しちゃいますぅ─」
いかにも肩書を狙ってますというような女性はとても苦手なタイプ。
「ありがと」
「もう、リカったら飲み過ぎ─。三栗谷さん困っちゃうでしょ─」
「え─、真澄だってちゃっかり三栗谷さんの隣キープしてるくせにぃ─。……三栗谷さん、真澄って実は彼氏いるんですよぉ─! でも私は今フリーですからね」
「ははは─そうなんだね─……あ、ごめん! ちょっと電話がかかってきたみたいだ、少し外すね」
「えっ─、三栗谷さん早く戻ってきてくださいねぇ─」
今日の飲み会は総勢二十人ぐらい。
男子、女子共に大体半々と言ったところ。飲み会が始まってまだ間もないというのに、僕はもうその場の雰囲気に疲れ果てている。そんな時は今みたいな感じで一旦外へ出ることにしていた。
かかってもきていないスマホをシャツのポケットへ収めると、今度はズボンのポケットからタバコとライターを手に取る。そして、火をつけたタバコを吸っては吐いてを繰り返し、最後は疲れを込めた溜め息と共に大きく煙を吐き出した。
夜なのに光輝く明るい夜空を見上げながら、ボ──……と頭を空っぽにする。
金曜の繁華街はとても賑やかだ。それに様々な人間模様を観察することができる。まぁ、ほとんどが酔っぱらいだけど……
僕がそんなことを思っていた矢先のこと──
突然どこかから、何かを嫌がっている女性の声が耳に飛び込んでくる。
そのうち繁華街にいる人達もそのざわめきに気付き、何事かと各々が通り過ぎ様に目を向け始めていく。