【完結】終わった恋にフラグはたちません!
第十二話 ☆ 私はどうしたいの?
──ゆうちゃんの降って沸いたお見合い話からもうすでに四日が経つ。
「伊織、大丈夫。一応お見合いはするけれど後から断れば何の問題もないだろうしね!」
そう言っていたゆうちゃんだったけれど、この四日間は怒涛のように事が過ぎ去っていったのだ。
石川君はゆうちゃんのアシスタントとして元に戻り、今はその傍らでデビューに向け新作を描き始めている。
そしてお見合い話が急激に進んだゆうちゃんと亜里沙さんは、早速、昨日あるホテルでそのお見合いが実行されたのだ。
自分では自覚していなかったけれど、昨日の私は何をするにしてもどこか上の空で何度も時計をチラチラと見返していたらしい。──と、後から巻さんや律君に指摘された。
「本当に立木さんにも迷惑かけてすみませんっす! うちが極道って……あの、驚きました、よね?」
「うん、そりゃ最初はね。でも石川君には才能があるしこのまま無くすのは勿体ないもん。きっと澪先生もそう思ってお見合いを受けたんじゃないのかな……」
石川君と会話しながらも私は自分の腕時計をチラッと眺める。
今日はずっとゆうちゃんや亜里沙さんのことが気になって頭から離れない。
ゆうちゃんはお見合いの後断ればいいって言っていたけれど、あんなに美人な子だもん……もしかしたらそのまま気に入っちゃうことだってあるんじゃないかな。
そう考えると、急に胸が苦しくなってくる。そんな私を気遣ってか、石川君は立て続けに声をかけてくれた。
「……あ─、うちの父って亜里沙にはデレデレで弱いんで無理矢理、お見合いって話にもなっちゃいましたけど……澪先生は絶対断ると思うので、立木さんは何も心配することないっすよ!」
「え……あ─私は全然大丈夫よ! 澪先生とはもう何の関係もないんだし……全然大丈夫! ほらっ、澪先生からお願いされていた仕事、終わらせちゃおう」
「立木さん……」
うん、そう大丈夫。
私は大丈夫……そう思っていたいのに、
ゆうちゃん早く帰ってきて、と心のどこかで願っている自分がいる。