【完結】終わった恋にフラグはたちません!
第十八話 ☆ 告白【壱】
『新郎新婦。あなた達はお互いを夫・妻とし、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも共に愛し敬い、慰め合い、ともに助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?』
『はい』
あの時の私はまさに誓いの言葉通り、ゆうちゃんと一生添い遂げようと心に決めていた……が、たった一年でその誓いの言葉は見事に破られてしまう。
──そして結局、私は彼の本当の真意を何も聞き出せず逃げ出してしまった臆病者なのだ────
───────………… …… …
眩しい光に刺激され、ずっと閉ざされていた瞼をゆっくりと開いていく。
頭がボ─としながら、一番初めに目に飛び込んできたのは少し茶色かかった白い天井。…私は仰向けで眠っているのか。
そしてそこから、目を動かせる範囲で辺りを見渡すとどうやらここは病室のように見えた。
……病院? あれ……私、何でこんな所にいるんだっけ?
頭が少し混乱している私は、とりあえず自分の体を起こそうとベッドから動こうとした。
──が、突如、自分の左頬にズキンッ!と雷が走ったような痛みが流れてきたのである。
「いっったぁ─!……何これ、頬が腫れて、る?」
気付くと自分の左頬には湿布らしきものが張り付けてあった。それを軽くさすっていると、徐々に自分の身に何が起きたのかが鮮明に頭の中に流れ込んできたのである。
「そうだ……私、ゆうちゃんの間に入って彼氏さんに殴られたんだっけ。…今までずっと気を失ってたのか、な……」
まだ少し意識が朦朧とする中、自分の右手がとても温かい何かに包まれていることに気付く。
私は、そ─と自分の目先を右に向けてみるとそこには、私の右手を優しく握りながら眠りについているゆうちゃんがいた。
え、ゆうちゃん?
……もしかしてずっと手を握っててくれたのかな?
あ─でも…ハァ─…、ゆうちゃんって相変わらずカッコいい寝顔だなぁ。
そんなことを思いつつクスッと笑みを溢した私は、気持ち良く眠るゆうちゃんに何度か声をかけてみる。
「ゆうちゃん……ゆうちゃん」
「……う─ん? あ、れ…いおり……?」
ゆうちゃんは寝起きの中、まだ今の状況を把握できていないようだ──起きてしばらく表情が固まっていたが、それも数秒の出来事。
直ぐ様、今まで見たことのない慌てっぷりで私の顔近くまで寄ってきたのである。
「伊織!? 目が覚めたんだね!! …良かった─。大丈夫、どこかほかに痛いとこない? あ、先生…先生呼ばないと」
「大丈夫だよ、ゆうちゃん。落ち着いて…」
その言葉を聞いたゆうちゃんは安堵という大きな溜め息を吐く。
そして次の瞬間、横になる私の体全体に覆い被さるように抱きついてきたのだ。もちろんベッドに両腕で自分を支え、私に負担がかからない程度の力加減で……でも私の顔のすぐ横には項垂れたゆうちゃんの顔があり、ドキンッと自分の胸が高鳴っていくのがわかる。