【完結】終わった恋にフラグはたちません!
『でも以前のこともあるし、そんな人に澪先生がまた引っ掛かるとは思えないけれど』
『……念の為です、念の為。で、もし危ない兆しが見えたらそこに綺麗に着飾った美女の立木さんが登場するんです』
『え!? 美女って…わ、私が?』
『はい。立木さんはメチャメチャ綺麗になると私は思っています。澪先生のピンチ時にそんな立木さんが現れて、そこでこう言ってやるんです… “私の大事な彼になにか御用?” って。女性にとって自分より綺麗な人に男を取られることは何よりも苦痛…それが自尊心の強い人なら尚更』
い、いやいやいや…私が芸能人より美女ってあり得ないでしょ!?
美女って言うなら亜里沙さんのほうがよっぽどいいのでは…
『亜里沙の場合、だいぶ漫画要素が入った設定にはなっているっすけど……まぁ彼女の自尊心を傷つけるのはそれでもいいとして、今回のドラマのヒロインを降りてもらうように持っていくのはどうする?』
『それはもう出たとこ勝負でどうにかなるでしょ。たぶん高光 杏は自分より美女が現れても食い下がろうとしないでしょう……なので、その時はこの調べた事実をぶつけてみるんです。さすがにこの事実が世間にばれたらやばいですから』
双葉ちゃんの冷静な分析が皆を納得させ頷かせているけど……そもそも別に自尊心を傷つける為に私の変装は必要ないんじゃ。
なかなか自分の意見を言う間もなく、皆の会議は白熱を帯びていく。
そしてなぜか皆の会話はどこか楽観的な様子も見受けられる。──その理由は、亜里沙さんの会話の中で私は理解した。
『まぁ、何かあればうちの組が黙っちゃいないから大丈夫ですよ、立木さん!
斑目組なんて私達の組に比べたら天と地の差だから。ね、お兄ちゃん』
『そうっすよ立木さん。いつでもうちの組の者が出れるよう待機させておくっすから』
『ア、アハハ……それは、とても……頼もしい限り、です』
律君と双葉ちゃんも自分達のバックの大物が味方だと知ってか、うんうんと笑顔で頷く。
でも、そんな強面の方達が立派な高級ホテルなんかにいたら逆にとっても目立つんじゃないかしら……などどは口が裂けても言えない雰囲気で会議は終了したのだった。