チャラ男の本気は甘すぎる
上月さんが片倉くんにそう言ったら
片倉くんがムス、と唇を尖らせた。
「天音がオレのこと嫌いなのは間違ってねぇだろが」
「きっ、嫌いじゃない!」
モゴモゴ言うと怒られるから
声を張ったら、意外に響いてしまって恥ずかしくなる。
「……あっ、ご、ごめんなさい…っ」
ハッと口を押さえると
片倉くんに「謝んな」って言われた。
「そうやってすぐ謝るとこもうざい」
「ごめ…あ、」
「……あー鬱陶しい。
なんでオレにはそんなビクビクすんだよ」
「片倉くんは…その…
ボスみたい、だから…」
「ボスって…。
それ悪口?」
「ちが…っ!
り、リーダーみたい、ってこと…で…
じ、上司?みたいな…あの、逆らえない、みたいな…」