チャラ男の本気は甘すぎる
憂莉と笑莉
その後、2人で玄関に向かい靴を履き替える。
「ユリって家どこ?」
「南町です」
今日入学したばかりだというのに、紫央くんはスニーカーの踵を踏んで歩いていた。
……サイズ合ってないのかな?
「俺もそっち方面。
南町よりもっと向こう」
「そうなんですね」
あれ……私、ちゃんと会話できてる!?
紫央くん相手だと、あんまり緊張しなくて、言葉が自然と出てくる。
紫央くんが、ちゃんと言葉を待ってくれるから。
優しい人だって、わかるから安心するんだ。
「じゃあ、私帰りますね」
「え、違う違う。
一緒に帰る流れじゃん」
「……え?でも、
紫央くん、もっと向こうって言うから…」
自転車か電車通学なのかと…。
「俺チャリ通だけど、
ユリの家まで押して歩きゃいいんだし」
「……あ、なるほど!」
「(ユリってちょっと頭弱そうなんだよな…
悪い奴に騙されないか心配だ…)」