チャラ男の本気は甘すぎる
「憂莉!?」
紫央くんの声が聞こえたかと思ったら、
キューッ、と、私の膝と床が擦れる音が響いて。
ぎゅっと瞑ってしまっていた目を開けた時、
私の手にはボールがおさまっていた。
「……天音!おまえ、なにしてんだよ!」
「いたた…膝、擦りむいちゃいました…」
「なんで怪我してまで…必死になってんだよ」
ボールをきゅっと握って
私の前にしゃがんだ片倉くんと目を合わせた。
「片倉くんにとっては、ただの遊びかもしれません…。
でも、私はずっと、楽しみにしてました」
「……」
「ドッジボール、好きなんです。
遊びでも、手を抜きたくないんです」
ドッジボールだけは
笑莉より得意で、好きだったと、自信をもって言える。