チャラ男の本気は甘すぎる
「う……そ…」
「本当にクモいたけど、ちっちゃいヤツだったし、自然に返した」
「………」
……笑われた。
からかわれたんだ、私。
「……っふ…ぅ…」
「……えっ、あ、ユリ!?
ごめん、泣くほどクモ嫌いだった!?」
……違う。
やっぱり紫央くんは、私のこと面白がってるだけなんだ。
『愛想尽かされる』
からかうのが面白い“友達”なんだ。
紫央くんにとっての“友達”は、そういう人のことなんだ。
「ごめんユリ…
冗談だったんだけど…」
「……う…んっ…」
泣き止まなきゃ。
冗談が通じる女にならなきゃ…紫央くんに捨てられちゃう。