チャラ男の本気は甘すぎる
「暗くなってきたから送るよ」
店を出てそう言ったら、
笑莉ちゃんは全力拒否してきた。
「いい。
アンタと一緒に歩きたくないし、
家の近くで憂莉と会ったら面倒」
「なんで?」
「あたしが憂莉に、睦月紫央と友達やめなって言ったのに
あたしとアンタが一緒にいるとこ見たら、ややこしくなるじゃない」
「あ〜。
『友達やめろって言っといてこっそり会ってるなんて、笑莉、紫央くんのこと好きなの!?』みたいな?」
「そうそれ」
そんなヤキモチ妬くか?
憂莉って、俺に対してそういう感情もってなさそう。
「……アンタのこと嫌いだから、
変な誤解されたくないの」
「それはどうもすいませんね」
俺だって誤解されたくないし。
「明かりが多いとこ歩いて帰りなよ」
せめて安全に帰れるようにそう言ったのに、
笑莉ちゃんは『そんなのわかってる』って顔してさっさと歩き出してしまった。
……ほんっとかわいくねぇ…。
いつかは、ちょっとくらい仲良くなれるんすかねぇ。