チャラ男の本気は甘すぎる
私はダメなんだ。
笑莉がいるから選ばれないんだ。
笑莉と比べられたくない。
笑莉がいなければ───。
今までも、そう思うことはあった。
でも何も行動できなかった。
だから私は
高校受験で、勇気を振り絞ってようやく行動したんだ。
『お母さん、私、笑莉と違う高校行く』
『あら…そうなの?
まぁ憂莉は笑莉より賢いからどこにでも行けるとは思うけど…
笑莉と一緒じゃなくていいの?』
お母さんは、『いいの?』って言ってくれた。
『大丈夫?』じゃなくて、『いいの?』って。
私の意志を、尊重してくれたんだ。
『笑莉と違う高校に行きたいの…。
だから、笑莉に志望校変えたことは言わないでほしい』
『うん、わかった。
笑莉も憂莉離れする良い機会だわ。
憂莉、一人でも頑張るのよ?』
『……うん』
お母さんと約束した。
だから私は、もう笑莉に囚われたくない。