チャラ男の本気は甘すぎる
笑莉のフリ
───ガチャ…パタン。
「あ、笑莉帰ってきた」
夕方。もう外もだいぶ暗くなった頃。
キッチンで夕飯を作る手伝いをしていたら、玄関から音が聞こえて、笑莉が帰ってきたのがわかった。
それにしても…なんでこんな時間に?
どこかで遊んできたの?
「ただいまー」
「笑莉、遅くなるなら連絡しなさい」
「ごめんなさい。
でも遅くなるつもりなかったもん。
待たされたんだからしょうがないでしょ」
「着替えて夕飯作るの手伝いなさいよー」
「えーめんどくさい」
笑莉はお母さんの言葉を無視して、自分の部屋に行ってしまった。
「笑莉は高校生になってからこういうのが多くて困るわ」
「……でも、遊びたい気持ちもわかるよ」
「まぁそうだけど…
けど、昔に比べて心配よ。
憂莉と一緒の方がよかったかしら」
「……」
「……あっ、ごめんごめん。
憂莉は悪くないわ。
笑莉がしっかりしないのが悪いんだから」