チャラ男の本気は甘すぎる
笑莉は、なにに対して『頑張って』って言ったの?
わからないけど…今はとりあえず、このドアを開けなくちゃ。
ガチャ、とドアを開けたら、
部屋にいた人が一斉にこっちを見た。
「ご、ごめん、遅れた〜…」
シン…と静かになったところに、私の声が響く。
その後すぐ、わー!と盛り上がった。
「お〜、笑莉ちゃん待ってたよ〜!
来ないかと思っちゃった!」
大悟くんがマイクを持ちながら近づいてくる。
う゛、と体が勝手に後ずさろうとしてしまったけど
「やめてよ、この子に触んの。
この子、“俺の彼女”なんだから」
大悟くんの後ろから割り込んできた声に、体が止まって、ヒュッと息を呑んだ。
「そーだよね、“笑莉ちゃん”」
「……!」
そう言って私の肩を抱くのは
憂莉が大好きな、紫央くんだった。