チャラ男の本気は甘すぎる
「……なんでできんの?」
「……え?」
紫央くんの腕にしがみついたままでいたら、
紫央くんが私の顔に手を添えた。
「……簡単にキスなんてすんなよ」
「え……」
「俺は、キミじゃなきゃダメなのに」
苦しそうに顔を歪めた紫央くんは顔を傾けてきて、
私が何事かとびっくりしている間に…
紫央くんの唇が、私の唇と重なった。
「……!?」
「……付き合ってもないのに、
俺とも簡単にできんだね」
唇はすぐに離れて、まわりに聞こえないように紫央くんが言う。
みんな、キスしてたところは見てたみたいで、きゃあきゃあと声が上がる。
女子は盛り上がってたけど、男子の空気は凍りついていた。