チャラ男の本気は甘すぎる
……なんで?
簡単にできる、なんて言うの?
それは…紫央くんも一緒じゃないか。
『キミじゃなきゃダメなのに』
私じゃなくて、笑莉に向けられた言葉のくせに。
なんで……
「……!
なんで、泣くんだよ…」
「……え…? あ…」
じわ、と目頭が熱くなったかと思ったら
ボロボロと涙がこぼれた。
「ご、ごめん…っ」
荷物を持って、部屋を飛び出した。
……せっかく、上手く笑莉のフリできてると思ってたのに
そのせいで、紫央くんの本当の気持ちが見えた。
紫央くんは、笑莉が好きなんだね。
それがわかった瞬間、どうしようもなく悲しくなって
涙が止まらない。