チャラ男の本気は甘すぎる



……なんで?



簡単にできる、なんて言うの?



それは…紫央くんも一緒じゃないか。




『キミじゃなきゃダメなのに』




私じゃなくて、笑莉に向けられた言葉のくせに。


なんで……




「……!

なんで、泣くんだよ…」



「……え…? あ…」




じわ、と目頭が熱くなったかと思ったら



ボロボロと涙がこぼれた。




「ご、ごめん…っ」




荷物を持って、部屋を飛び出した。



……せっかく、上手く笑莉のフリできてると思ってたのに



そのせいで、紫央くんの本当の気持ちが見えた。




紫央くんは、笑莉が好きなんだね。




それがわかった瞬間、どうしようもなく悲しくなって



涙が止まらない。




< 262 / 301 >

この作品をシェア

pagetop