チャラ男の本気は甘すぎる
お店を出てすぐの通りにあるベンチに腰を下ろす。
……やっぱり、私じゃダメなんだ。
俯いたら、また涙がこぼれる。
頬に伝う涙を拭おうとしたら、
誰かの手が私の涙を掬った。
「……え…?」
顔をあげたら
息を切らして、悲しそうに笑う紫央くんと目が合った。
「……泣くなよ」
「……あ…ご、ごめん…っ」
……紫央くん、追いかけてきたんだ。
憂莉じゃなくて、笑莉だから…。
「あの男には自分からキスするくせに、
俺とのキスは泣くほど嫌かよ」
「……ちが…」
そうじゃなくて。
紫央くんとのキスが嫌なんじゃない。
紫央くんが、笑莉を選んだことが嫌なの。