チャラ男の本気は甘すぎる



「それ、今日俺が巻いたんだー。
焼きそばも俺が詰めた!」



「そうなんですか?
すっごく美味しいです…!」



「ユリはいつも、なんでも美味しいって言うじゃん」



「本当に美味しいので!」




きっと早起きして作ってくれたんだなって思ったら、余計に感謝しかない。


紫央くんはいつも、『お金はいらない』って言うけど、タダでもらうのも申し訳ないくらい美味しいよ。




「ユリがパン食べてるとこ、
リスみたいでかわいい」



「え…り、リス?」



「もぐもぐしてるとこ。
小動物みたいでかわいいなって」




もぐもぐしなきゃ飲み込めないよ?



もしやこれ…またからかわれてる?




「……私は齧歯類(げっしるい)っぽいということ?」



「へ?(齧歯類?)」



「……すみません。
また上手く返せませんでした」




きょとん顔の紫央くんを見て、また返答を間違えたんだって思う。


からかわれてるのがわかっても、どうやって笑いに変えれるのかわからない。



< 29 / 301 >

この作品をシェア

pagetop