初めて恋と知った時私の全てがあなたになる
「え? で、でも……私は三ヶ月後には」

 結婚して派遣の仕事も辞めるのに……。

「結婚するそうだね。おめでとう」

「あ、ありがとうございます」

 知ってるのならなぜ依頼を?

「会長は、三ヶ月でもいいから来てほしいそうなの」

「そうなんですか?」

 会長は少しバツの悪そうな顔で、お恥ずかしい話だがと前置きをしてその理由を話してくれた。


半年前に代替わりをし、会長のご子息が社長に就任した。

新社長は勉強も兼ねて長い間アメリカの旅行会社に勤めていたので、私とは面識がない。

その新社長はなんと就任して半年経つが、秘書が7人変わっているのだ。

「7人ですか?」

秘書との相性が合わなくてチェンジすることはある。

だけど半年で7人って平均しても一ヶ月持たないってことじゃない。

「本当にお恥ずかしい。別に社長を擁護するつもりはないが、仕事に真っ直ぐすぎる故にどうしても厳しいというか……だから鮫島君にお願いしたいんだ」

え? ちょっと言葉の意味がわからない。

私だったらここで記録が止まるとおっしゃりたいの?
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