初めて恋と知った時私の全てがあなたになる
「私より有能な秘書が長続きしないのなら私なんて——」

「僕は、君になら務まると思っているから直接頼みに来た。もちろん三ヶ月で構わない。新社長のサポートをお願いできないかな」

会長の目は息子を心配する親の目をしていた。

そんな目でお願いされたら断れないじゃない。

「ご期待に添えるかまだわかりませんが、最後の仕事。頑張らせていただきます」

「ありがとう。本当にありがとう」

 多分、絶対に断れなかったと思う。

 うちの社長が鋭い眼差しではいと言いなさいって訴えていたし、それに最後の派遣先が初めての派遣先っていうのはなんだか運命を感じたしね。

「鮫島さん、最後の仕事になるかと思うけど、頑張ってちょうだい」

「はい。頑張ります」

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「……ってことで、ちょっと不安もあるけど頑張ってみます」

『君なら大丈夫だよ。でも……無理をしないように』

「はい。でも時間があればブライダルエステとかやってみたかったな〜」

『君は何もしなくても綺麗だから大丈夫だよ』

 帰宅して、部屋でくつろいでいると婚約者から電話が来た。
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