初めて恋と知った時私の全てがあなたになる
それは遡ること一年前。

仕事から帰ってくると、珍しく父が大事な話があるからと私を呼んだ。

父は大手広告代理店に勤務している。

役職は課長だったと思う。

正直父の役職とか興味がなくて……。

「お父さん、話って何?」

「香菜、お前にすごいいい話があるんだ。まあ、座れ」

ソファに座ると父が私に茶封筒を差し出した。

「何これ」

「ま〜見てみなさい」

 茶封筒のなかに手を入れると少し厚めで硬い紙のような感触。
 中を取り出すと……。

「写真?」

 一体誰の?

「お前に縁談話が来た」

「ええ?」

びっくりして写真を落としそうになった。

「聞いて驚くなよ。電子機器メーカのNISの坂崎専務のご子息だ。悟くんていうんだが彼もN ISの営業マンだ。どうだ? 年齢も香菜と同世代で見た目は……アレだが、条件的には申し分ないと思うぞ」
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