初めて恋と知った時私の全てがあなたになる
彼、坂崎悟さんは二つ年上の二十八歳。

写真と見た目の大差はなかったが、写真の方が写りは良かった。

父の話では仕事ができると聞いていたが、見た目からはあまり感じられなかった。

だけど、実際に会話をすると、話がとても上手で飽きない。

仕事ができると言っていた意味がわかった。

最初は彼のことを好きかどうかはわからなかったけど、セレブになれる可能性ができたことは嬉しかった。

それから間も無くして結婚を前提とした交際がスタートした。

友人が結婚式で言っていたような一目惚れして燃え上がるような恋とは無縁で、もう何十年も一緒にいるような妙な落ち着きがあった。

だから胸がキュンてすることもなければドキドキすることもなく……。

でも私は結婚にそういうの求めてないというか、セレブになることが私の目標だった。

それから半年後、

「結婚してくれますよね」

まるで、断る選択肢もないプロポーズ。

だけど断る理由はなかった。

だって降って湧いてきた縁談。

しかも社長ではないもののセレブってことには違いない。

彼のご両親から好印象を持たれたのは秘書の高スキルのお陰。

それからとんとん拍子で話が進み、私たちは三ヶ月後に結婚する。

やった! 私は勝ち組よね。

と結婚が決まった時、飛び上がりそうなほど嬉しかったか思っていたが、そうでもないというか……。

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