夏の終わりと貴方に告げる、さよなら

「……捨てられた、か」

 立花は何かを考えるように、ぽつりと呟く。

「笑ってくれてもいいんですよ。なんだ、そんなことかって」

 自嘲気味に嶺奈が言うと、立花の眼孔が鋭くなった気がした。

「笑えないよ。だって、君は傷付いたんでしょ? だから、あの日。あんなことをしようとした。そんなことだって言えるほど、君の傷はもう癒えてるの?」

 なんで、そんなに痛いところを突いてくるの。

 癒えてなんかない。癒えてたら、こんなこと言わないし、しない。

 嶺奈は顔を歪ませ、下唇を噛む。

 油断したら、また、泣きそうだ。

「そんなに噛んでたら、血が出るよ」

「放っておいて」

「それは出来ない」

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