夏の終わりと貴方に告げる、さよなら
 薔薇園で再会したとき、嶺奈は一人で寂しそうな表情を浮かべていた。

 孤独を誤魔化そうとしている顔は、俺が何度も見てきた表情だった。幸せだって、あれほど啖呵を切っていたはずなのに。どうして、そんなに辛そうなんだ。

 強がりな嶺奈が見せた虚勢に、思わず手を差し伸べてしまいたいと思った。

 けど、出来なかった。出来るわけがなかった。
 
 勝手に嶺奈を裏切った俺が、易々と触れていい相手ではない。

 何度も傷つけてしまうくらいなら、最初から出逢わなければよかった。好きにならなければよかった。

 だから、これ以上は嶺奈に関わらないように身を引こうと思った。

 嶺奈が幸せになれるのなら、それだけでいい──。



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