夏の終わりと貴方に告げる、さよなら
 休憩室はお昼を過ぎていた為か、幸いにも誰も居なかった。限られた時間の中で、亮介は確信に迫るように美緒に単刀直入に問う。
 
「来週から大阪に出張することになったんだが、美緒は何か聞いてるか」

「え? 私、知りません」

 突然の亮介の問いに、彼女も戸惑っているようだった。

「君が言ったんじゃないのか」

「……何をですか」

「大阪に行けって」

「私は何も言ってないし、知らない」

 視線を逸らし続けていた美緒が、亮介の顔を見据えて答える。嘘をついているようには見えなかった。

「じゃあ、なんで君も連れて行かなければいけないんだ」

「どういうことですか」

 彼女もまた、亮介の疑問を不審に思ったのか、眉根を寄せる。

 話が噛み合っていないのは明白だった。

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