夏の終わりと貴方に告げる、さよなら
 休日の朝を迎え、携帯の電源を入れ直す。すると、着信音が鳴り響いた。

 相手は無論、立花良平だった。

「はい」

『良かった……。電話出てくれて』

 開口一番、彼は安堵した様子で、ほっとしているのが通話越しに分かった。
 
「どうしたんですか」

『どうしたって、君こそどうして電源切ってたの。心配した……』

 その声はどこか少し怒っているようにも思えた。一晩、連絡がつかなかっただけで、こんなに焦るだろうか。

 心配なんて言葉、久し振りに聞いた気がする。亮介なら心配なんて言葉、きっとおくびにも出さない。
 
「なんとなく、独りになりたくて」

 嶺奈はなんだが居心地の悪さを感じて、嘘をついた。

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