夏の終わりと貴方に告げる、さよなら

「違っ……! そんなんじゃ」

 見とれていたと勘違いをされてしまったのかもしれない。脳裏で必死に否定の言葉を探した。

 けれど、次に続く言葉が見つからず、口を閉ざす。

「冗談」

「…………」

 その言葉を聞いて、からかわれていたのだと、少しだけ安堵する。良平さんと居ると、何故か自身のペースを乱されてしまう。
 
 これも、彼なりの気遣いなのか。
 それとも、作戦の一つなのか。

 私には分かりそうもない。


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