夏の終わりと貴方に告げる、さよなら
 最初の頃は、一体いつになったら復讐計画を進めるのか、焦りしかなかった。一向に行動へ移そうとしない立花に、苛立ちが募り始めていたのも本当だ。

 もしかしたら、こうやって徐々に懐柔して、私の復讐心を薄れさせていく作戦なのかもしれない。

 彼は私の傷を癒すことが先決だと言い、週末は必ず連絡を取り合い、休日はお互いに顔を会わせる、というルーティンが、いつの間にか習慣になり始めていた。

 これではまるで、本当の……。

 思いかけて、止めた。

 私達はあくまでも、偽の婚約者であり、本当の恋人ではない。彼のペースに流され始めていることに、戸惑いを隠せないでいた。


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