夏の終わりと貴方に告げる、さよなら
午後10時過ぎ、入浴を終えて、自身のベッドルームへ向かうと、タイミングを見計らったかのように携帯が着信する。
最早、着信画面を見なくても、誰からの電話なのか、分かるようになってしまっていた。
嶺奈は確認もせずに応答する。
案の定、彼からの電話だった。
『お疲れさま。明日はどこか行きたい場所はある?』
当たり前のように問い掛ける彼は、いつもと変わらない様子だった。
「…………」
答えることが出来ずに、無言になってしまう。いつもなら、彼が目的地を決めていた。近場から、ちょっとした遠出まで。
けれど、そのどれもが日帰りで、遅くなっても、夕方までには必ず私を自宅に帰してくれるのだ。
もどかしく思ってしまうのは、物足りなくなってしまうのは、私が慣れてしまっただけなのか。
『もしかして、気分じゃない?』
私の機嫌を窺うような、控え目な彼の声音。
もし、彼が私の恋人だったなら、少しくらいの我が儘も、甘えも許してくれるのだろうか。
そんな考えが、脳裏を掠める。
最早、着信画面を見なくても、誰からの電話なのか、分かるようになってしまっていた。
嶺奈は確認もせずに応答する。
案の定、彼からの電話だった。
『お疲れさま。明日はどこか行きたい場所はある?』
当たり前のように問い掛ける彼は、いつもと変わらない様子だった。
「…………」
答えることが出来ずに、無言になってしまう。いつもなら、彼が目的地を決めていた。近場から、ちょっとした遠出まで。
けれど、そのどれもが日帰りで、遅くなっても、夕方までには必ず私を自宅に帰してくれるのだ。
もどかしく思ってしまうのは、物足りなくなってしまうのは、私が慣れてしまっただけなのか。
『もしかして、気分じゃない?』
私の機嫌を窺うような、控え目な彼の声音。
もし、彼が私の恋人だったなら、少しくらいの我が儘も、甘えも許してくれるのだろうか。
そんな考えが、脳裏を掠める。