夏の終わりと貴方に告げる、さよなら
 それから数週間後のことだった。

 嶺奈は独りで休日を過ごしていた。案の定、彼は仕事で朝早くに出て行ってしまった。

 寂しさを紛らすように、嶺奈がふらりと出向いた先は薔薇園だった。

 季節は初秋を迎え始めていた為、薔薇園に咲いている薔薇は種類が少なく、どこか哀愁を感じさせる景色になっていた。

 まるで、自分の心を投影したような景色に、物悲しさが胸を絞めつける。

 良平さんが側に居てくれたら、この景色も違って見えたのだろうか。

 お互いの心が離れ始めていると感じているのは、私だけだろうか。

 そんなことばかりを考えながら、薔薇をぼんやりと眺めていたせいで、嶺奈は後ろにいる人物に気がつかなかった。
 
「──嶺奈?」

 振り向くと、そこに立っていたのは亮介で、彼も偶然の再会に驚きを隠せないでいた。

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