夏の終わりと貴方に告げる、さよなら
『話がある。会えないか』
クリスマスの前日。仕事を終えて、携帯を確認すると一通のメッセージが入っていた。
亮介からの連絡は数ヶ月振りだった。
「いつ?」
嶺奈が端的な返信をすると、すぐに返事が戻ってくる。
『今日。どこかで落ち合おう』
お互いの返信が短いのは昔からの癖だ。亮介はメッセージのやり取りが苦手で、余計な雑談をするくらいなら、直接会って話したほうが早いと、彼はいつも言っていた。
そのことに関しては、慣れてしまったから、別段不満もなかった。
けれど、良平さんの場合は違った。
時間があれば、特に用事がなくてもメッセージを送ってくれる。それが、嶺奈には新鮮で、すごく嬉しかったのだ。
変わらない亮介に安堵しているはずなのに、少し寂しく思ってしまうのは、何故なのだろう。
嶺奈は胸に抱いた違和感を、見て見ぬふりをした。