BeAST




「ふふ、言っておくけどぉ、あたしたち相当灯織のこと愛してるから、灯織ほど優しくないよぉ?」



愛、か。



「灯織は馬鹿みたいに他人に優しくて、馬鹿みたいに自分に優しくできない人間だ」


「馬鹿馬鹿言い過ぎだろ」


「お!やっぱり灯織は俺の仲間だな!」


「やめろ、最悪」


「お前!」


「今日は自分の教室に帰ってくれ。」


礼が柿谷達に話す。


「柿谷、またな」


笑って手を振る。

俺の机をもう一度蹴って出ていく柿谷達。



出ていってから、俺は



「悪い」



頭を下げる。


クラスの人間全員に。



「変な空気にしちまって」


「よし!今日の放課後全員分アイス奢りな!」


「おい、幸大てめえ」


俺が制止した時には既に遅く、全員、うえーいと騒いでいた。


気を使ってくれたんだろうが。


「灯織、涙」


犀川がハンカチを差し出す。


「ん?ああ」


指で目元を拭こうとすれば、犀川がハンカチで拭いてくれる。


「悪い」


「謝らないで」


黙って目を閉じて、拭いてもらう。


「首……また跡ついてる」


心配させるよな、そりゃ。


「今が1番、暴力に走る時期ってことだな。力に訴えないようにさせるから、今だけな」


……って、与坂どこに


俺はその状況に目を剥く。


与坂は、皇の前に立ってる。



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