BeAST
185と155……
すげえ身長差だな。
ってそこじゃない。
ガタッと焦りすぎて椅子に足をぶつけるも、急いで与坂の元に走る。
「与坂……え」
すげえ、メンチきってる。
「今後一切、灯織に近付かないで」
その状況に、また周りが凍りつく。
「最近、灯織がテンション低いから、話聞いてた。好きじゃねえやつにキスされたらどうするかって聞かれてた。その時の灯織の顔、今思えば縋ってた」
与坂の瞳が潤んで、ポロッと涙が零れる。
「あたし、…気付いてあげられなかった」
困ったぞ、これは。
「いや、気付く気付かないとかの問題じゃねえだろ。俺はその、相手が相手だったから、相談すんにもどうすっかなぁと思ってただけで」
「灯織」
礼が俺を止める。
「灯織は、勝手に強い人だって思ってた。ううん、強い人だよ。それなのに、泣いてしまうほどのこと、アンタはしたってことでしょ」
皇は少しも変わらない無表情で、与坂を見つめる。
……すげえ羞恥プレイな気がするけど、でも、与坂は俺のために怒ってくれてんだもんな。
「それでいて、灯織のことが好きだからやったわけじゃない?馬鹿にするのも大概にしてよ」
「違う」
皇が、喋った……
おい、何口走るつもりだ。