BeAST
丞さんは、グレーのシャツに黒のジャケットと黒のパンツ。
アクセサリーは腕時計と、親指と人差し指にリング、片耳にリングピアス1つのみ。
すごいシンプルだけど、全部ブランド物だ。
「その格好で来るなら、それも教えてくれれば良かったのに。つか、その格好でも、話し方変わんねえんだ」
クス、と笑う丞さん。
女の格好なら、丞さんも服装合わせるんだろうな。慣れてんな、流石。
「あー、じゃあ、変える」
「そんなコロッと変えられるもんなの?」
少しずつ、丞さんが俺の姿に慣れ始めてる。
「一応。あと、今日はミキって呼んで」
「へえ、そっか。そっちが今は変装になるわけね。何となく理解してきたわ。歳は?どうする?」
今日は俺としてじゃない。
別人として。
「20とか?」
「んー、21にしよっか」
「分かった」
いつもよりニコニコする丞さん。
それはとりあえず無視で。
「時間的にはまだ早いけど、どうする?ご飯食べてきた?」
なんか、なんか。
「別に、丞さんは話し方変えなくてもいいんだけど」
いや、そこまで変わってるわけじゃないけど、完全に、
「今から " ミキ " への話し方にして置かないと、いつも通りの話し方は一応男への話し方にしてるから」