BeAST
……まじか。
考えてくれてたんだ。
そうだよな、あの場でも一応誰が聞いてるか分かんねえもんな。
「はは、感動しちゃってる?言っておくけど一回り年上だよ?俺」
「……この前の結構気にしてるんだ」
「いや、そうじゃない。……はぁ、大人気なく、今の君にドキドキしちゃってんの。」
「犯罪……」
「仕方ないじゃん。いつもの君でも十分可愛いなって思ってるんだから。そんな格好で来られたらオジサン興奮しちゃう」
キャピッとして見せる丞さん。
その姿を静観していれば、気まずそうに目を泳がせる。
「はぁ、無理だわ。挫折しそう」
ポールに片手を当てて、腰に片手を当てる丞さん。
「丞さん、頑張って。私、これ以上に女っぽく振る舞う予定だったんだけど」
「嘘でしょ……」
なんか、丞さんの心の中が見える。
多分、動揺を隠すためにペラペラ話してる。
俺の格好に、慣れ始めていたと思ってたけど、違うっぽい。
仕方ないか。
丞さんの腕に、俺の腕を絡める。
「クラブ行くまでに少しずつギア上げるから、慣れて」
俺より少し高い目線の位置。
それにわざと上目遣いで、そして地声のオクターブ上ぐらいの声を出す。
元々、地声でDKに見えるくらいには声が低いから。