BeAST




席に着いて、色々会話をしながら食事をする。


環や耀介以外と、こういうちゃんとしたところで食事するのは初めてかもしれない。



別の席でプロポーズをしているカップルがいる。


恋愛か。



「ミキは、好きな人いないの?」



「うん」



「周りにあれだけイケメンが居て、ときめいたりしないわけ?」



ときめく、か。


皇に、うんともすんとも言わなかったんだ。


面食いではないんだろう。


「ない。誰かの1番になりたいとか、思ったことがない」



「わあ、俺と相性いいじゃん」



「もしかしたらそうなのかもね」



そう答えれば、虚をつかれた様な顔をする丞さん。



「丞さんが、私と一緒で、誰も好きになったことがないなら、だけど」



すぅ、と表情がなくなる丞さん。

丞さんは、人を好きになったことがある。

多分、どうしようもなく愛したことがある。

その経験から、今は誰も大切にしないことを選んでる人だと思う。


ま、この人の言動から想像しただけだけど。

でも、この顔は図星だ。



「もし、どうしようもなくなったら、私のとこに来てもいいよ。全力で介護してあげるから」



「年寄り扱いえぐ」


ふふふ、と口元に手を当てて笑う。



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